秋山兄弟生誕地

3月20日(金・春分) 生誕の日 眞之の生涯を偲ぶ

1868 年戊辰の年の 3 月。江戸薩摩藩邸の西郷・勝・山岡の会談で江戸城無血開城が決した日から 1 週間、ここ松山藩( 1 月末無血開城)の秋山久敬邸に末っ子淳五郎(じゅんさん)が生まれた。そして満 16 歳になった秋、兄の下に上京。志を文学から海軍に転じて、その使命を果たす。 なぜロシア艦隊に勝てたのかと海軍大学の学生が質問した。眞之は答えた。「それは連合艦隊のすべての乗員が結束して、その持場持場で最善を尽くした結果だ。特定の何かではない。」と。まさにそうだったのだろう。眞之もその最善を尽くした乗員の一人であった。――そうして第 1 次大戦終了の年、国の行く末を案じながら往った…。

秋山兄弟生誕地  2020 年春

その後日本は第 2 次大戦と終戦後 75 年を迎え、本年は、世界挙げて新型感染症との闘いの最中である。眞之生誕祭の 3 月は、緊急事態宣言( 4 月)の前で、国内の大規模な集いは中止、小規模も延期か中止か縮小か、個々の判断が求められた。――愛媛においては、その日まで感染者は 3 人。その関係方々の大変な協力・感染拡大防止の尽力に感謝し、今後の長期戦においては小規模で密集しない集いは、対策を取って実施することも、国と社会を守るための協力・応援になると主催者は判断。当日は次のように実施された。

○眞之生誕 152 年式典: 9 : 30 ~ 10 : 15  ― 例年 14 時頃までの記念茶会等は中止し 45 分間に凝縮
○参列者:(松山の参加申込者で来れた人) 35 名 — 常盤同郷会道場にて、風通しよく。
○本年趣旨: 眞之は、お国のために、 本務を尽くすいっぽうで、明治 21 年帰省の際には在京の友人・勝田主計らと
  図って「松山同郷会」を創設。後輩・青少年の錬成に、その後も助力を惜しまなかった。今、故郷に寄せた眞之の
  一 面をとくに偲ぶ。

常盤同郷会賞受賞 済美高校卒業生 川越まいさん のスピーチ(手話を交えて)

1、〈来賓祝辞〉
 ・愛媛県知事代理 信貴正美 県スポーツ・文化部文化局長 ( 知事メッセージ 代読 )
 ・松山市長代理 石丸耕一 松山市坂の上の雲ミュージアム事務所 所長 ( 市長メッセージ 代読 )
 ・松山市教育委員会教育長代理  渡部浩典 市教育委員会文化財課長 (松山市教育長あいさつ代読)

  ――松山市教育長藤田仁氏よりのメッセージでは、 『ふるさと松山学』 の出版事業 7 年とその小中学校での実践
   が、紹介された。その事業は松山ゆかりの先人 80 人と 20 の史話をまとめ「子どもたちが、先人の熱い情熱、高い
   志 ある生き方に触れる」ことを目指している。まさに秋山眞之らの「松山同郷会」の事業と相通じることだった。メッ
   ージ の最後には「昨年3月に市内8 つの小中学校が、校外学習兼遠足の一環で、ここ秋山兄弟生誕地を訪ね
   た 際に、新刊本『広がれ!ふるさと松山の心』を持参して活用、深い学びにつながっていることをとてもうれしく思っ
   てい ます。」と結ばれていた。

  その他の来賓 にも、郷土で青少年教育に関わる方が、多く参列された。
 ・ 坂の上の雲ミュージアム 松本啓治 館長  ・ 松山市子規記念博物館 竹田美喜 館長 
 ・ 済美学園 石丸 博 理事長   ・ 日本ボーイスカウト愛媛県連盟 宮内正民 連盟長 
 ・ 松山市青少年育成市民会議 ( 青少年センター ) 西川 暁 事務局長 ・ 松山子規会 烏谷照雄 会長
 ・ 松山坊っちゃん会 武内哲志 会長  ・ 萬翠荘 片上雅仁 館長 

 以上の方々の他に〈地域・御近所〉より
 ・ 松山市教育研修センター ・東雲学園 ・清水 9 区公民館の一草庵管理協力会の方
   また、〈常盤同郷会〉より・評議員 2 名、理事 8 名 ・秋山兄弟生誕地研究員 ( ガイド ) 3 名  
 ・ 常盤同郷会柔道部長ほか関係者 2 名が参列した。

2、〈常盤同郷会賞受賞高校生の 5 分間スピーチ〉 [ →写真上 ]
    戦前由来の「常盤同郷会賞」は、中予地区高等学校 30 の卒業式に際し、学業と社会貢献活動共に熱心に
   取 組んだ生徒へ、各校からの推薦に基づき授与されてきた。
    今年度は、受賞 31 名の中から、済美高校に眞之生誕祭で初の受賞者スピーチをお願いしたところ、学校も本
   人も積極的に受けて下さった。
   ――同校を卒業したばかりの川越まいさんのスピーチ「私が成長した3年間」。手話の奥深さを 学びながら、仲間
   と共に行った交流活動や全国大会出場の若々しい体験発表は、まさに、眞之さんの故郷青年への志とも響き合
   い、ふるさとの老若男女共に感動を以て拝聴した。(済美高校教諭、手話サークル知人、また、近くの東雲高校の
   常盤同郷会賞受賞者も共に)

3、〈献奏〉
  ・(唱)柔道部長等「常盤同郷会会歌」
  ・(筝曲)生田流正派邦楽会 前谷雅貴大師範 「六段の調べ」、「朧月夜・いのり」

  ――参列者一同、眞之に捧げる静かな琴の音と共に、コロナ克服の祈りを込めて、今の時代の青少年育英への想
   いをあらたにしました。

眞之辞世 ―― 不生不滅あけて烏の三羽かな